健大高崎高校は、158kg/h右腕の石垣元気投手を筆頭に、150kg/h近くの投手が複数存在し、
打線は上位から下位まで切れ目がなく、長打力と勝負強さを兼ね備えた、
まさに投打のバランスが絶妙なチームです。
そして今年春のセンバツでは、横浜高校に敗れてしまいましたが、
ベスト4まで勝ち上がっています。
そのため今夏の大会は、打倒横浜を合言葉に優勝を狙っており、
横浜高校と並ぶ、優勝候補の筆頭でした。
そんな健大高崎高校が、初戦の京都国際高校戦で負けてしまいました。
優勝候補同士の激突でしたが、
健大高崎高校のほうが、格上で有利という評価だったはすです。
その健大高崎高校が、京都国際高校に3対6で敗れ、早々と甲子園を去ることになりました。
実際のスコアがこれです。
表.1 健大高崎と京都国際のスコア
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
健大高崎 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 4 | 0 |
京都国際 | 2 | 0 | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 6 | 10 | 1 |
健大高崎高校はなぜ負けたのでしょうか?
158kg/h右腕の石垣元気投手を筆頭とした優秀な投手陣は、
なぜ6点も取られてしまったのでしょうか?
昨年のセンバツも横浜高校以外は、1点に抑えています。
ですから、6点の失点は異例です。
それから得点が3回の3点のみでした。
なぜ3回の3点のみしか得点できなかつたのでしょうか。
そこで調べる内容を次にまとめました。
試合経過
なぜ6点も取られてしまったのか?
なぜ3回の3点のみしか得点できなかつたのか?
健大高崎はなぜ負けたのか?の敗因についてまとめ
試合経過
表.2 健大高崎と京都国際の得点ポイント
健大高崎 | 京都国際 | |||
---|---|---|---|---|
1回裏 | 守備 下重投手 | 京都国際が2点先制 | 清水のスクイズと猪俣のタイムリー。 スクイズは犠打、野戦を誘う巧みな戦術。 | |
3回表 | 守備 西村投手 | 健大高崎が逆転(3点) | 暴投で1点。小堀弘晴のタイムリーで 一気に逆転。 | |
3回裏 | 守備 下重投手 | 京都国際が再逆転(2点) | 死球→山口の2塁打→猪俣のタイムリーで流れをすぐに取り戻す粘り強さ。 | |
5回裏 | 守備 山田投手 | 京都国際が1点追加 | 倉橋翔の適時内野安打。 2死三塁からの集中力ひかる。 | |
6回裏 | 守備 佐藤投手 | 京都国際がさらに1点追加 | 長谷川楓のタイムリー。 確実に加点し、試合を支配。 |
なぜ6点も失点してまったのか?
健大高崎 青柳監督の誤算
青柳監督の構想のなかでは3対2のスコアで投手を繋ぎながら、逃げきる構想でいたようです。
しかし思ったより特に下重投手、佐藤投手の球の走りがよくなかったこと、
また下重投手については、初回から揺さぶりを掛けられたことで、
自分のペースで投げられなかったことにより、4点を与えてしまっています。
石垣元気投手を登板させたタイミング
石垣投手は結局7回からの2イニングしか投げませんでしたが、
ストレートはほぼ150km/hを超え、今大会でもっとも速い155km/hを
記録しています。
また変化球の切れもよく、打者7人に対し、2安打無得点で抑えています。
もつと速く石垣投手を登板さらていれば、
これほどの得点はされなかったはずです。
しかし石垣投手は春に左脇腹を痛め、万全な状態ではありませんでした。
ですから監督も石垣投手投手の将来を考え、
いずれにしても短いイニングの登板しかさせなかったそうです。
実際石垣元気投手は先発型ではあるものの、
春以降は短いイニングでの圧倒的なパフォーマンスに特化しており、
リリーフとしての起用が増えていました。
今回も「流れを変える切り札」として、温存されていたと考えられます。
本当にもう少し早く登板していたら、
こんなことにはならなかったのではと、悔やまれますよね。
しかしここで無理をして勝利していたとしても、
脇腹痛再発の恐れもでてくるため、
今回のような投球はできなかったんではないでしょうか。
それにしても、今回の投球が全国に強烈な印象が残ったのは、
確かだと思います。
ですから石垣投手はドラフトの目玉になることは間違いないでしょう。
なぜ3回の3点のみしか得点できなかつたのか?
京都国際の西村投手の投球術
健大高崎が京都国際の西村一毅投手に抑え込まれた背景には、彼の投球術の完成度があります。
表.3 京都国際 西村投手の強み一覧
特徴 | 内容 |
---|---|
魔球チェンジアップ | ストレートと同じ振りで投げるため、打者はタイミングをはずしやすい。 高校生では対応困難レベル。 |
緩急と配球術 | スライダーとストレートのコンビネーションで、的を絞らせない投球を展開。 |
脱力からの出力 | 力感のないフォームんら一気に球速を出すため、 打者は球速以上に速く感じる。 |
精神的安定感 | ピンチでも冷静に配球を組み立て、試合を壊さないタイプ。 |
西村投手は球速で押すタイプでなく、打者の思考を裏切るタイプの左腕です。
そのため健大高崎のような機動力と読みの鋭い打線でも、
対応が難しかったと考えられます。
また西村投手も今日の出来はあまりよくなかったといっており、
球数も多かったことが、いい意味で脱力もできて、
いい意味で脱力からの出力の効果ができたのではないでしょうか。
健大高崎打線は研究されていた
次の点から、健大高崎打線は、十分研究されていたと明確にいえます。
☆【バッテリーの裏をかく配球】
京都国際の捕手・猪股琉冴は「健大高崎の打者はチェンジアップを警戒している」と読んだ上で、
スライダーや内角球を効果的に使い、打者の裏をかく配球を徹底しています。
☆【機動力野球の封じ込め】
健大高崎の代名詞である「機動力野球」は、出塁が少なかったため機能しませんでした。
盗塁はわずか1回のみで、相手の守備・投球が完全に対策済みだったことがうかがえます。
☆【打者のスイング軌道の乱れ】
健大高崎の打者はボール球に手を出す場面が多く、得点圏での打率も極端に低かった。
これは「球種・コースの読み違い」が頻発していた証拠です。
健大高崎の打者たちは、単に打てなかったのではなく、
「読まれていた」「誘導されていた」可能性が高いです。
西村投手の投球術と京都国際のバッテリーの戦略が、
まさに“構造的勝利”を導いたと言えるでしょう。
健大高崎はなぜ負けたのか?の敗因についてまとめ
●なぜ6点も失点してまったのか?について、一つ目は青柳監督の誤算にあります。
豊富な投手陣を繋ぎながら、3対2で逃げ切る構想でしたが、
下重投手、佐藤投手の球の走りがよくなかったこと、また揺さぶりを掛けられたことで、
下重投手が自分のペースで投げられなかったことにより、4点を与えてしまっています。
●なぜ6点も失点してまったのか?について、2つ目は、
石垣元気投手を登板させたタイミングにあります。
石垣投手は結局7回からの2イニングしか投げませんでしたが、
ストレートはほぼ150km/hを超え、今大会でもっとも速い155km/hを
記録しています。
また変化球の切れもよく、打者7人に対し、2安打無得点で抑えています。
しかし石垣元気投手は春に左脇腹を痛めており、
青柳監督が、石垣元気投手をいずれにしても、
短いイニングしか投げさせるつもりはなかったそうです。
もし投げていたとしても、脇腹痛の再発などの恐れがありました。
●なぜ3回の3点のみしか得点できなかつたのか?については、
西村投手の投球術の高さと、健大打線を研究した尽くしたうえの
京都国際バッテリーの戦略にあります。
以上健大高崎はなぜ負けたのか?初戦敗退の敗因を調査してみました。
健大高崎の代名詞である「機動力野球」は、全国でも稀有なスタイルです。
今後は、機動力に加えて「打撃力」「投手力」、そしてさらには、
「戦術の柔軟性」を融合させた“ハイブリッド型”への進化を期待しています。
最期までお付き合い頂き、ありがとうございました。
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