智弁和歌山高校は今年の選抜の準優勝校であり、渡辺颯人投手と宮口龍斗投手というドラフト有力
選手の2枚看板、そして強打で知られています。
そして今大会は打倒横浜高校を掲げる、まさに優勝候補の一角の高校でした。
その智弁和歌山高校が、花巻東高校に1対4で敗れ、早々と甲子園を去ることになりました。
これがそのときのスコア表です。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
智弁和歌山 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 2 |
花巻東 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 4 | 7 | 1 |
花巻東高といえば、菊池雄星投手や大谷翔平選手を輩出した東北の名門ですが、
総合力と評価的には智弁和歌山のほうが上のはず。
この結果を誰が予想したでしょうか。
そこでなぜ智弁和歌山が負けたのか、調べてみることにしました。
まず渡辺颯人投手と宮口龍斗投手のwエースが登板したにもかかわらず、
なぜ4点も取られたのか、
さらに強打の智弁和歌山が萬谷堅心投手に完全に封じ込まれてしまい、
1点しか得点を挙げることができませんでした。
その理由について調べることにしました。
調べる内容は改めて、次に示します。
さあみなさんでいっしょに確認しましょう。
智弁和歌山Wエースはなぜ4点も失点したのか
智弁和歌山打線はなぜ1点に抑えられたのか
智弁和歌山がなぜ負けたかについてのまとめ
智弁和歌山Wエースはなぜ4点も失点したのか
花巻東の事前分析と長打狙い
☆花巻東高の佐々木監督は試合前から、
「智弁和歌山の投手は優秀なので、
連打より長打で得点する必要があると語っていました。」
☆実際に試合では、1回裏に連続安打で出塁して、
タイムリーなしで2点を奪うなど、
小技と機動力を絡めた得点パターンがみられました。
もともと花巻東は、中軸の貢献度は控えですがが、
下位打線の粘りと得点圏での勝負強さが光ります。
得点圏打率が高く、少ないチャンスを確実に得点に結びつける得点パターン
になっています。
ですから花巻東らしい攻撃がされてしまつたとうところです。
Wエースそれぞれに対する対策
表.投手タイプの違いによる花巻東高の対策一覧
投手 | 登板 | 特徴 | 花巻東の対策傾向 |
---|---|---|---|
渡辺颯人投手 | 1~5回 | 147km/hの本格右腕 準Vのエース | 初回から積極的に揺さぶり 機動力と小技で崩す |
宮口龍斗投手 | 6回 | 152km/hの速球派右腕 系統型、ゾーン勝負 | 低めの変化球に注意しつつ、 中盤位以降の対応力重視 |
渡辺投手への具体的な対策
【1回 初回から揺さぶりと小技で崩す】
・野選を誘う走塁(1死二・三塁→三塁送球ミス)
・犠牲フライで得点を重ねる。
【5回 けん制を揺さぶり、ミスを誘発させる】
5回には渡辺颯人選手のけん制悪送球を誘い、三塁進塁→タイムリーで追加点
宮口龍斗投手への具体的対策
6回から登板の宮口龍斗投手に対しては、
花巻東はすでにリードしていたため、無理に攻めず、球数を稼ぎながら淡々と対応。
初回のような揺さぶりは少なく、“守り切る構造”に移行した智弁に対して、
流れを渡さない打撃が中心。
なぜこのようにWエースそれぞれに違う攻略法をとったのでしょうか。
それは渡辺颯人投手と宮口龍斗投手は、同じチームのWエースでありながら、
投球スタイル・勝負観・対応戦術がまったく異なるタイプ
であることによると考えられます。
表.2 Wエースそれぞれのタイプと花巻東の対策についての有効性一覧
投手 | タイプ | 花巻東の対策 | 有効性 |
---|---|---|---|
渡辺颯人 投手 | クレーバーな勝負師 配球、牽制、テンポで主導権握る。 | 初回から積極的に揺さぶり。 | 非常に有効→牽制ミス、野戦、 タイムリー誘発。 |
宮口龍斗 投手 | 身体能力型。 球威、腕の振りで ゾーン勝負 | 無理に揺さぶらず、球筋に合わせた対応 | 限定的→揺さぶりより見極めと逆方向 打ちが有効。 |
そして特に渡辺颯人投手への対策がより有効に働いたと考えられます。
フィールディング、牽制の得意な渡辺颯人選手だからこそ、
この誘いに乗りやすく、相手の術中にはまってしまったものと考えられます。
渡辺颯人投手の配球が読まれていた
次の点から配球が読まれていた可能性は、きわめて高いと考えられます。
☆1【花巻東戦での失点パターン】
初回から積極的に揺さぶられ、牽制ミスや犠牲フライで2失点。
5回には牽制悪送球→タイムリーという流れで追加点。
球種やタイミングを読まれていた可能性が高い。
☆2【配球の傾向が見抜かれていた】
渡辺投手はストレートとスライダー・カーブ中心の配球に対し、
花巻東は逆方向への打撃やコンパクトなスイングで対応していた。
特に右打者が外角球を狙い撃ちしていた場面が多く、
配球の“読み”が機能していた。
渡辺颯人投手はセンバツなどの映像等データが豊富ですから、
投球パターンの解析もしやすいのでしょうね。
皮肉なもので活躍するほど相手に分析しやすくなるものなのでしょう。
そこで私は今後の対策を考えてみました。
それは次の内容です。
表.3渡辺颯人投手が今後配球を読まれなくするための対策案
対策 | 内容 | 期待される効果 |
---|---|---|
新しい変化球の習得 | チェンジアップやツーシームなど | 読まれにくい配球構成を 構築できる。 |
投球テンポを変化させる | 間を取る。クイック。 ゆっくり投げる。 | 打者のタイミングをはずし やすくできる。 |
フィールデング強化 | さらに牽制・送球・守備対応を 向上させる。 | 揺さぶりへの耐性をつける。 |
こんなにところでどうでしょうか。
「そんなこと試合が終わった段階ですでに考えてるよ。」
という声が聞こえてきそうです。
智弁和歌山打線はなぜ1点に抑えられたのか
初回に先制点を挙げたものの、2回以降は無得点となりました。
萬谷堅心投手(花巻東)は五回まで毎回安打を浴びながらも粘投し、六回以降は無安打で完投。
智弁和歌山は11残塁と、好機を作りながらもあと一本が出ませんでした。
それで軟投派の左、萬谷投手を何故打てなかったのかについて調査分析しました。
左打者が、左投手が苦手、軟投派も苦手
左打者が多いのにほぼ機能していなかったからです。
そのため決定打が出にくい状態に陥ったと考えられます。
特に萬谷堅心投手のスリークウォータ気味から投げるスライダーに、
全く対応できていませんでした。
さらに軟投派も苦手なことを、花巻東の佐々木監督は見切っていたと考えられます。
実際の打撃成績がこちらになります。
表.4 花巻東戦の智弁和歌山打者成績一覧
打順 | 守備 | 選手名 | 打者属性 | ヒット有無 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 中堅 | 藤田一波選手 | 左打 | × | 初回出塁の以降沈黙 |
2 | 二塁 | 大谷魁亜選手 | 左打 | × | 左腕に封じられる |
3 | 左翼 | 山下晃平選手 | 右打 | × | 打撃で存在感を示せず |
4 | 右翼 | 福本聖也選手 | 左打 | × | チャンスで凡退 |
5 | 一塁 | 荒井優聖選手 | 左打 | × | 無安打 |
6 | 三塁 | 松本虎太郎選手 | 右打 | ○ | チーム初ヒット |
7 | 捕手 | 山田凛虎選手 | 左打 | × | 左腕に完全に封じられる |
8 | 投手 | 渡辺颯人選手 | 右打 | ○ | 左前安打で出塁 |
9 | 遊撃 | 黒川梨太郎選手 | 左打 | × | 無安打 |
左投手克服も対策と思いますが、
右打者の育成が急務ですね。
そしてここまで見てみると、
花巻東の選手の力に敗れたというより、
知将花巻東高の佐々木監督の敗れたということではないでしょうか。
智弁和歌山がなぜ負けたかについてのまとめ
智弁和歌山Wエースがなぜ4点も失点したのかについては、
①連打はなくても小技と機動力を絡めた得点パターンが機能した。
②Wエースそれぞれについて、次のような対策をとった。
渡辺颯人投手については、積極的な揺さぶりで送球ミス、牽制ミスを誘った。
宮口龍斗投手については、球筋を見極め、逆方向打ちを心掛けた。
特に渡辺颯人投手には、有効に働いた。
牽制もフィールデングも得意な渡辺颯人投手だからこそ誘い込みやすかったと考えられる。
③渡辺颯人投手の配球が読まれていた。
智弁和歌山打線はなぜ1点に抑えられたのかについては、
左打者が7人いる打線で、左打者が左投手と得意としていないこと、
また軟投派に弱いことを、花巻東の佐々木監督に見破られた。
この弱点を突く上で、萬谷投手は最適だった。
以上智弁和歌山はなぜ負けたのか について調べました。
そして次の春の選抜では弱点を克服し、さらにパワーアップした智弁和歌山が楽しみです。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
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